遊びながらボール投げスキルが上達していた?トレーニング3選

事例・体験談

元施設職員がボール投げ上達法を伝授

以前、運動が苦手な子どもについて感覚統合の視点で考えてみました。そのなかでもボール投げが苦手な子どもが多く、よく保護者からも克服したいといった要望がありました。今回はたのしく遊びながら、ボール投げが上達する方法を紹介します。これは私が施設で勤務していたときに、実践して効果のあった方法です。必ずしも全員が効果を期待できるわけではありませんが、事例として参考にしていただけるとうれしいです。

もっとも成果のあったのは、小学校4年生でADHDのH君です。彼は身体を動かすことが好きで、常に激しく動き回っているタイプでしたが、実際のところ運動自体は苦手。力は強く、速く走ることができる一方、なにかにあわせて自分の身体を動かすこと、全身を連動させる動きなどは不得意でした。そして、ボール投げは力を入れすぎて、地面に叩きつけてしまいます。それを友だちに笑われると、怒って暴力を奮うことがありました。

手軽に実施できるトレーニング3選

まず、初めに取り組んだのは腕を振る練習です。使用するのはボールではなく、新聞紙。以下の手順で、音の鳴る新聞紙をつくります。

1.広げた新聞紙に折り目をつける

2.折り目に合わせて、4つの角を折る

3.角を合わせて半分に折る

4.横半分に折る

5.角部分を持ち上げ袋を開く

6.裏返し、反対も同様に開く

7.割れている方を下向きにする

8.上側の1枚だけめくって折る

9.上下向きは変えずに裏返して半分に折る

10.下側が持ち手になり、完成!

この新聞紙を上から下に腕を振り下ろすようにして音を鳴らします。思い切り振り切らないと袋が開かず、音が鳴りません。音を鳴らすときは距離を取る、耳のそばで鳴らさないなど、約束事を決めて行ってください。

次に使用するのは紙飛行機です。よく飛ぶ複雑な折り方のものではなく、シンプルな折り方のもので構いません。これを少し離れた目標地点に向かって飛ばします。このとき注意するのは、力強く遠くに飛ばすのではなく、真っ直ぐ飛ばすことを意識させます。紙飛行機は肩の辺りからスタートし、肘や手首のスナップを使えるようにします。目標地点は遠すぎず、意識したい部位をうまく使えるよう、子どもが届く距離に設定しましょう。

最後はフェイスタオルを使ったトレーニングです。フェイスタオルの先を、片方だけ縛り玉をつくります。縛っていない方のタオルの先を片手で持ち、玉部分で弧を描くように遠くに投げます。このときも力いっぱい投げるのではなく、弧を描くことを意識させます。少し高い位置にロープを張るなどして、山なりに投げられるようにします。

効果をスポーツテストで発揮

それぞれで必要な動きを自然と行えるよう、目標物など環境を整えて行うことが大切です。こうしたトレーニングは、子どもにとっては遊びながら取り組むことができますが、本来の目的はボール投げに必要な身体の動きを自然と身につけることです。効果を確認するため、メニューの前後に単純なボール投げをしてみると変化がわかりやすいでしょう。

実際、H君は紙飛行機が真っ直ぐ飛ぶことがうれしく、自宅でも繰り返し飛ばしていたようです。いつも手前にボールを叩きつけていましたが、スポーツテストのハンドボール投げでは10数メートル飛ばすことができたといいます。もちろん学校で体育の授業などもあるため、この練習法だけが改善要因ではないと思いますが、ぜひ試してみてください。

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