もっとも多かったのはADHD。「注意欠陥・多動性障害」とは?

発達課題

ADHD「注意欠陥・多動性障害」の概要

わたしは知的障がいや自閉症、アスペルガー症候群、まだ障がいと認定されていないグレーゾーンと呼ばれる発達課題をもった子どもたちと接してきました。そのなかでもっとも多かったのは、ADHD(attention deficit hyperactivity disorder)と診断された子どもです。

ADHDの正式名称は「注意欠陥・多動性障害」。主な特徴は多動・衝動性と不注意が目立つという点です。現段階では明確な原因はわかっていませんが、脳の前頭葉・大脳の線条体に伝達されるドーパミンの機能障がいや、遺伝的要因も関連していると考えられています。それぞれの主な症状は以下のとおり。

<多動・衝動性>
・席を離れる
・座っていても、手や足をもじもじする
・じっとしていられない
・喋りすぎる
・順番を待てない
・他人の会話などに割り込む

<不注意>
・うっかりミスが多い
・集中力が継続しない
・段取りができない
・整理整頓ができない
・忘れ物、紛失が多い
・気が散りやすい
・やるべきことが最後まで終わらない

小学生に3~7%ほど存在するといわれ、圧倒的に男子の方が多いという結果が出ているそうです。また、一般的に多動の症状は成長とともに軽くなることが多いですが、衝動性や不注意の症状は青年期、または成人期まで続くとされています。

医師からADHDと診断される条件

ADHDはアメリカの精神医学会のマニュアルに沿って、以下の条件をすべて満たしたときに診断されます。

1.「不注意」と「多動・衝動性」が同程度の年齢の発達水準に比べてより頻繁に強く認められること
2.症状のいくつかが12歳以前より認められること
3.2つ以上の環境において(家庭、学校、職場、その他の活動中など)障害となっていること
4.発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること
5.その症状が統合失調症、または他の精神病性障害の経過中に起こるものではなく、他の精神疾患でうまく説明されないこと

「精神医学会(APA)のDSM-5(「精神疾患の診断・統計マニュアル第5版」)」より

周りだけでなく自分自身にも影響

これらの症状は、日常生活に大きく影響します。たとえば、一方的な会話や、友だちの会話に割り込んでしまうなど、自分本位なコミュニケーションによって、周りから敬遠されてしまうことがあります。また、授業中に離席してしまったり、順番を待てなかったりすると、集団行動の妨げとなる場合もあります。さらに集中力に欠け、授業に遅れをとってしまうことから、自信をなくし自己肯定感が低くなるなど、自分自身が影響を受ける可能性もあるのです。

同じADHDと診断された子どもであっても、特性や課題はさまざまです。次回は、実際にわたしが接してきたADHDの子どもたちの症状を紹介していきます。

【参考】ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療 | e-ヘルスネット(厚生労働省)
    発達障害|病名から知る|こころの病気を知る|メンタルヘルス|厚生労働省

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