子どもに禁止ばかりしてない?してもよいことを明確にして問題行動を減らす

事例・体験談

「今、してよいこと」ってなに?

前回に引き続き、今回も子どもに不適切な行動をさせないためには、どうしたらよいか、事例を交えて紹介していきます。

それは放デイでの出来事でした。子どもたちが登所すると、テレビゲームで遊び始めました。しかし、この時間、施設ではゲームができないルールになっていて、職員室にあるゲームを持ち出すことはもちろん、無断で入室することも禁止されていました。

当然、ゲームをしていた子どもたちは注意されます。職員にゲームを取り上げられると、教室内を走り回ったり、再び持ち出そうと職員室に入ったりしました。登所から活動が始まるまでの10分程は、ゲームやおもちゃで遊ぶことは禁止。しかし、「静かに過ごす」という約束ごとがあるのみで「してはいけないこと」は決まっていても「してよいこと」が明確ではなかったのです。この時間を友だちや指導員と話をして過ごせる子もいますが、反対に空白の時間が苦痛に感じる子もいるため、私たちは「してよいこと」を明確にする必要がありました。

わずかな自由時間の使い方

たとえば、この場合は道具を使わず、指導員が中心となって、終わりのタイミングのとりやすいジェスチャーゲームなどを行うのもよいでしょう。おもちゃで遊び始めると、活動時間に気持ちを切り替えづらくなるからです。また、片付けやすいカードゲームを取り入れると、静かに過ごしやすいと思います。以前、紹介した「ドブル」は、途中でも区切りやすく、時間差で登所した子も入りやすいのでおすすめです。このように「すること」を明確にしてあげると、子どもの問題行動を減らせるかもしれません。

問題行動を引き起こしている原因を見つける

また、環境整備も重要です。以前、普段は離席の見られない自閉症の男の子(12歳)が離席を繰り返し、教室中を歩き回りました。理由を尋ねると、おもちゃ棚を指し、片付けてほしいというのです。その日は乱雑に置かれたおもちゃが、彼にとって刺激になってしまったようでした。こうして視界や耳から入る情報などが多いと、落ち着かなくなったり、集中力が下がったりすることがあります。それ以降、おもちゃは別室で保管するようになりました。

以前、片付けについて紹介しましたが、棚にカーテンをつけて目隠しをしたり、見えないところに置くなど、なるべく子どもに入る情報を減らすことも大切です。ただし、必要な情報は、視覚的に伝えることで受け取りやすくなるため、上手に活用していけるとよいでしょう。他にも曖昧なルールや、わかりにくい指示も混乱を招きます。ルールや約束ごとを決めるときは、わかりやすい言葉で、具体的に決めるようにしてください。

普段から環境を整えたり、いろいろな想定をしていても、予想外のところで、子どもたちは気持ちが乱れたり、不適切な行動をしたりします。そのときは、なにが不適切行動を招いているのか、よく見守り対策していくことが、そうした行動を減らすきっかけになります。お互いに経験し、学習しながら減らしていけるといいですね。

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